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B型事業所とは|仕事・工賃・商品をやさしく解説
2026年7月8日
目次
B型事業所(就労継続支援B型事業所)とは、障害や難病のある人が、雇用契約を結ばずに軽作業や生産活動に取り組める福祉サービスの事業所をいいます。厚生労働省の調査では、令和6年度時点で全国18,245か所が工賃実績を報告しています。雇用契約を前提とするA型事業所や一般就労とは異なり、体調やペースに合わせて利用日数・作業時間を調整しやすい仕組みになっています。
B型事業所とは何か
就労継続支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスで、A型とB型の2種類があります。A型は事業所と利用者が雇用契約を結ぶ「雇用型」で、最低賃金法が適用されます。B型は雇用契約を結ばない「非雇用型」で、体調に波がある人、一般就労の経験がまだない人、年齢や体力の面で雇用契約になじみにくい人などが、それぞれのペースで作業に取り組む場として位置づけられています。
利用にあたっては、市区町村が発行する障害福祉サービス受給者証が必要になります。年齢や障害の種類による一律の制限は設けられておらず、身体障害・知的障害・精神障害・難病など、幅広い人が利用対象となります。事業所ごとに受け入れている作業内容や利用条件は異なり、見学・体験を経て利用先を決めるのが一般的な流れです。利用日数も週1日程度から週5日フルタイムに近い形まで、事業所と本人の相談によって調整できる幅があります。
もともとは「福祉工場」「授産施設」などと呼ばれていた仕組みが、障害者自立支援法・障害者総合支援法の整備を経て、就労継続支援A型・B型という現在の枠組みに再編された経緯があります。制度の名称は変わっても、「一般就労がすぐには難しい人に、働く場と対価を用意する」という役割そのものは一貫しています。
A型事業所との違い
A型とB型の最も大きな違いは、雇用契約の有無です。A型は雇用契約に基づき最低賃金以上の賃金が保証されますが、その分、勤務日数や作業ノルマなど雇用契約に準じた条件が求められます。B型は雇用契約を結ばないため、最低賃金の規定は及ばず、対価は「工賃」と呼ばれます。
厚生労働省の令和6年度データでは、全国平均の月額はA型が91,451円(対前年比105.4%)、B型が24,141円(対前年比106.6%)となっています。事業所数(工賃実績の報告件数)で見ると、B型が18,245か所であるのに対し、A型は4,220か所と、事業所数そのものにも大きな差があります。B型の方が数のうえでも選択肢が多く、地域に密着した小規模な事業所が多いのが特徴です。
この賃金・工賃の差は「B型の方が劣っている」という話ではなく、雇用契約を前提にできるかどうかという制度上の入口が違うことに由来します。どちらが良い・悪いではなく、本人の体調や希望する働き方に合わせて選ぶものです。工賃の水準や仕組みについては、工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組み で詳しく解説しています。
(出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)
どんな仕事をしているのか
B型事業所が請け負う仕事は幅広いです。企業から受託する軽作業(部品の組み立て、封入・封緘、清掃など)を中心とする事業所もあれば、パンや焼き菓子、ドリップコーヒー、雑貨、アクセサリー、農産物などを自ら企画・製造し、店舗やオンラインで直接販売する事業所もあります。近年は、デザイナーやプロのバイヤーと組んで商品開発を行い、一般消費者向けに洗練された商品を送り出す事業所も増えています。
仕事の内容は、大きく分けると次のように整理できます。
- 受託作業型:企業から部品加工・梱包・清掃・データ入力などを請け負います
- 製造・販売型:焼き菓子やパン、コーヒー、雑貨、アクセサリー、農産物などを自社商品として企画・製造・販売します
- サービス提供型:カフェや売店の運営、クリーニング、リサイクル関連の作業など、店舗や施設の運営そのものを担います
どの仕事を選ぶかは事業所の方針や地域の産業構造によって異なり、「B型事業所の仕事」とひとくくりにできるものではありません。同じB型事業所という制度の中でも、受託作業を中心に安定運営する事業所と、自社ブランドの商品開発で工賃を伸ばそうとする事業所とでは、運営のスタイルがまったく異なります。めぐりものが商品を選ぶ際に見ているのも、まさにこの部分、事業所ごとの企画力や作り込みの差です。
利用までの流れ
B型事業所を利用したい場合、まず市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所に相談するのが一般的な入口になります。そこで生活状況や希望を整理したうえで、気になる事業所を見学・体験し、自分に合うかどうかを確かめてから利用契約に進みます。契約後は障害福祉サービス受給者証に基づき、決められた利用日数の範囲でサービスを使う形になります。
事業所によって作業内容だけでなく、送迎の有無、給食の提供、在宅での作業(在宅利用)への対応なども異なるため、複数の事業所を比較検討することが多いです。この段階的なプロセスは、一般企業への就職活動とは別の、福祉サービスとしての利用手続きである点を押さえておきたいところです。
工賃はどう決まるか
B型事業所の工賃は、軽作業の受託収入や商品の売上といった生産活動の収益から、材料費などの実費を差し引いた金額をもとに、事業所が定める工賃規程に従って利用者に分配されます。運営費そのものは障害福祉サービスの給付費で賄われるため、工賃は「事業所の経営努力の成果」がそのまま反映されやすい領域になっています。
工賃の全国平均・推移・算定方法の変更点といった詳しいデータは、工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組み にまとめています。都道府県別の実額と年度ごとの推移は、工賃データベース で表にしています。
商品を選ぶときに知っておきたいこと
B型事業所の商品を選ぶ理由は人それぞれでよいです。ただし「福祉だから応援する」という動機だけに頼った買い方は、実は長続きしにくいです。事業所側にとっても、品質やデザインの改善を後回しにする理由になりかねないからです。
めぐりものが商品の質と物語を先に伝え、還元の仕組みを後から種明かしする順番を取っているのは、この考え方に基づいています。工賃は「気の毒だから渡す対価」ではなく、「選ばれた商品の対価として動くお金」です。その前提に立ったとき、B型事業所の商品は、福祉の文脈を離れても十分に選ばれる価値を持ちうるものです。
実際、全国のB型事業所の中には、プロのデザイナーやロースター、パティシエと組んで商品開発を行い、一般の小売店やセレクトショップに卸すところまで育った事業所もあります。そうした商品が並ぶ棚では、作り手がB型事業所であることは前面に出てきません。デザインや味、使い心地で選ばれたあとに、初めて背景が語られます。この順番こそが、工賃の水準を長期的に押し上げていく現実的な道筋だと考えています。
B型事業所とA型事業所の違いは A型事業所とB型事業所の違い|雇用契約と、お金の決まり方 に、工賃という仕組みそのものについては 工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組み にまとめています。