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国際フェアトレード認証ラベルとは|矢印の意味と、本物の見分け方

2026年8月10日

目次

パッケージの片隅、丸いマークの右側についた小さな矢印。ついている商品とついていない商品があることに、気づいたことはあるでしょうか。

前回、フェアトレードの仕組みについて書きました。今回はその続きとして、ラベルそのものを確かめています。Fairtrade Japanの公式サイトと、ラベルの使用ルールを定めた規約のPDFを、英語のまま読みました。

矢印は、ただの飾りではありませんでした。そしてもうひとつ、調べていて意外だったことがあります。このラベルは、日本の作り手には付きません。

「フェアトレード」という言葉と、ラベルは別のもの

国際フェアトレード認証ラベルは、Fairtrade Internationalが管理する認証とラベル表示の仕組みで、基準を満たした製品にだけ使用が認められる登録商標です。ここでまず区別しておきたいのは、この登録商標としてのラベルと、「フェアトレード」という言葉そのものです。

パッケージやウェブサイトに「フェアトレード」と書くこと自体には、決まりがありません。Fairtrade Japanのよくある質問には、こう説明されています。

フェアトレード(Fair Trade)とは、貿易をより公平・公正なものにするために、ビジネスを行う代替モデルを提示する人々や組織による幅広い運動を指します。ラベル付きおよびラベルなしの商品、オルタナティブ・トレード組織(ATO)、世界フェアトレード連盟(WFTO)、その他のネットワークの活動が含まれます。 フェアトレード(FAIRTRADE)とは、フェアトレード・インターナショナルが管理する認証およびラベル表示システムを指します。国際フェアトレード基準を遵守して取引・製造され、フェアトレード機関によりライセンスを受けた製品には、世界で最も認知度の高いエシカルラベルである「国際フェアトレード認証ラベル(FAIRTRADE Mark)」が付いています。

(出典:よくあるご質問 (FAQs)|Fairtrade Japan)

同じ「フェアトレード」という言葉が、二つのものを指しています。一つは幅広い運動としての言葉で、ラベルの有無を問いません。もう一つは、Fairtrade Internationalが管理する認証とラベルそのものです。運動としてのフェアトレード全体は、フェアトレードとは|仕組みと、決まっている金額で書きました。

言葉は誰でも書けますが、ラベルはそうではありません。

ラベルは、勝手には付けられない

国際フェアトレード認証ラベルについて、Fairtrade Japanはこう説明しています。

国際フェアトレード認証ラベルは、フェアトレード・インターナショナルの独占的所有物であり 、世界知的所有権機関World Intellectual Property Organization - WIPOに登録された国際的な登録商標です(国際商標登録番号:第0806431号)。 フェアトレード・ジャパンは、フェアトレード・インターナショナルよりライセンス許可を得た、日本における認証ラベルの専用使用権者であり、ライセンスを許可することのできる唯一の法人です。

(出典:国際フェアトレード認証ラベルの不正使用の通報|Fairtrade Japan)

この登録番号を、WIPOのデータベースで自分でも確かめようとしましたが、たどり着けたのはFairtrade Japanのページの記載まででした。商標は170カ国以上で登録されている、ともあります(出典:認証ラベルについて|Fairtrade Japan)。

登録商標であるということは、ラベルを載せるには許諾が要るということです。ラベルの使用規則を定めたPDFには、こう書かれています。

Any organization or company wanting to use the Certification Mark on Finished Products, including promotional materials, must either be a Fairtrade Certified Operator or a Fairtrade Verified Operator and obtain prior written approval for its artwork bearing the Certification Mark from Fairtrade International or a National Fairtrade Organization. In addition to written artwork approval…a Fairtrade Certified Operator or a Fairtrade Verified Operator must enter into a royalty-bearing agreement with Fairtrade International or a National Fairtrade Organization.

(出典:Regulations Governing the Use of the European Union Certification Mark “FAIRTRADE”|Fairtrade International)

要約すると、ラベルを商品に載せるには三つが要ります。事業者が認証または検証を受けていること。ラベルを載せたパッケージのデザインそのものを、事前に書面で承認してもらうこと。そして、ロイヤリティを伴う契約を結ぶこと。この三つが揃わなければ、パッケージにラベルを刷ることはできません。

守らなかった場合の手順も、同じPDFに書かれています。まず期限を切って是正を求め、それでも改善しなければ最大6か月の認証停止、さらに認証の取消。監査を拒むなど重大な場合は、この中間段階を飛ばして直接取消に進むこともあるとされています。認証を失った事業者は、ラベルを載せたパッケージや販促物を、書面通知を受けてから30日以内に流通から回収するよう求められます(出典:同PDF)。

つまりラベルは、貼ったもの勝ちの表示ではありません。気になる商品があれば、Fairtrade Product Finder|Fairtrade Japanでブランド名や商品名を調べられますし、表示に不審な点があれば、さきほどの通報窓口へ連絡することもできます。

矢印は「裏面を見てください」という合図

矢印の意味も、同じよくある質問に書かれていました。

国際フェアトレード認証ラベルの右側に▶の矢印がついているものもあります。この矢印はパッケージ裏面にて認証原料と調達方法について確認してください、ということを意味しています。

(出典:よくあるご質問 (FAQs)|Fairtrade Japan)

矢印は「裏を見て」という指示です。裏面に何が書かれているかには、二つの理由が重なっています。

一つ目は、クッキーやアイスクリームのように、フェアトレード認証原料と非認証原料が混ざる製品です。この場合の原則は、調達できるものは全部フェアトレードで調達することで、ラベルの使用規則にはこう定められています。

ATCB means that all ingredients in a composite product that can be sourced on Fairtrade terms are in fact sourced on Fairtrade-terms. However, the amount of Fairtrade-certified ingredients in a composite product must still reach the minimum threshold of 20% of a product’s total ingredients.

(出典:同PDF)

Fairtrade Japanの日本語ページも、同じ内容をこう説明しています。

ただし、フェアトレードの条件下で利用できるすべての原料は、フェアトレード認証原料でなければなりません。さらに、製品の全原料中、フェアトレード認証原料は最低20パーセント以上である必要があり、その割合はパッケージ裏面に記載されています。

(出典:認証ラベルについて|Fairtrade Japan)

順番を間違えないようにしたいところです。20%はあくまで下限で、まず調達できるものは全部フェアトレードで調達したうえでの20%以上です。20%さえ入っていればいいという意味ではありません。

二つ目の理由は、カカオ、砂糖、フルーツジュース、茶(camellia sinensis)の4産品に限って認められている「マスバランス」という調達方法です。なぜこの4つの産品だけ例外が認められているのか、Fairtrade Japanはこう説明しています。

国際フェアトレード認証製品では、カカオ、茶、砂糖、フルーツジュースの4品目において、トレーサビリティの追求が極めて困難であり、農家の利益を制限しかねないものであるとしています。これらの産品は、地域の製粉所や工場において、あるいは出荷の時点において、日常的に原料が混合され、複雑な製造工程を経ています。

(出典:フェアトレードのサプライチェーンにおけるトレーサビリティとマスバランス|Fairtrade Japan)

マスバランスが使われた製品では、実際に混ざった原料そのものを追いかける代わりに、フェアトレード条件で取引された量が帳簿の上で追跡・監査されます。裏面には、こういった文言が書かれます。

この製品に使用された【原料】の同等量が、国際フェアトレード基準に従って調達されています。生産や加工の過程で、非認証【原料】と混合されることがありますが、【原料】の生産者には、同等量分のフェアトレード価格とプレミアムが保証されて取引されています(マスバランス基準)。

(出典:同上)

次にコーヒーやチョコレートの棚に立ったら、矢印を探してみてください。付いていれば、裏面のどこかに、認証原料が何パーセント入っているかという数字か、マスバランスという言葉のどちらかが書かれているはずです。

このラベルは、日本の作り手には付かない

矢印の次に、もうひとつ確かめたかったことがあります。日本国内にも、就労継続支援B型事業所のように、対価の公正さをめぐる似た課題を抱えた作り手がいます。国際フェアトレード認証ラベルは、そうした作り手にも付くのでしょうか。

Fairtrade Japanのよくある質問に、答えがそのまま書かれていました。

国際フェアトレード認証は、貿易を手段として開発途上国の立場の弱い生産者を支援し、持続可能な開発を実現することを目的として設立されました。 多くの国内の農家も、作物から適正な利益を得るために同様の問題に直面していますが、いくつかの大きな違いもあります。例えば、開発途上国の農家は、しばしばインフラ面での支援がほとんどなく、また、農作物を適正な価格で販売できない場合の社会保障制度やその他のセーフティネットもありません。フェアトレードは、特に開発途上国の生産者が貿易を通じて貧困と闘うことを可能にすることを目的としています。(中略)そのため、生産対象国・地域を設定しており、日本を含む先進国は含まれておりません。

(出典:よくあるご質問 (FAQs)|Fairtrade Japan)

生産対象国・地域が、制度として最初から決まっています。日本を含む先進国は、その対象に含まれていません。だから、日本の福祉事業所がどれだけ丁寧に商品を作っていても、国際フェアトレード認証ラベルが付くことはありません。品質や取引の公正さの問題ではなく、制度の対象範囲がそもそも違うからです。

ラベルが付かないことは、代金がどこにも還っていないことを意味しません。この制度の物差しが、日本の作り手には最初から用意されていないだけです。では、日本の作り手への還元は何で確かめればいいのか。この媒体では、その答えを工賃という数字に置いています。工賃という仕組み自体の説明は工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組みに、都道府県別の実績は工賃データベースにまとめてあります。

企業独自の「フェアトレード」表示との見分け方

ラベルの話とは別に、もうひとつ確かめておきたいことがあります。企業が独自に掲げる「フェアトレード」のマークと、国際フェアトレード認証ラベルは、見た目が似ることがあります。この二つを見分ける手がかりを、環境省が公表している資料の中に見つけました。

環境省の環境表示ガイドライン(令和8年3月版)には、こう書かれています。

製品が、独立した第三者機関によって保証又は証明されていないにもかかわらず、そのことをほのめかすような表現をしてはならない (中略)消費者が、事業者等の独自ラベル等を第三者機関による認定・推奨の環境ラベル等と混同あるいは誤解しないようにするためには、事業者等の独自ラベル等に付随して、当該ラベル等の表示主体(事業者名、団体名)を付記することが望ましいといえます。

(出典:環境表示ガイドライン【令和8年3月版】|環境省)

このガイドラインが扱っているのは環境表示で、フェアトレードのような社会面の表示を名指ししているわけではありません。ただ、考え方はそのまま使えます。見慣れないマークに出会ったら、そのマークのそばに表示主体、つまりどの事業者や団体が名乗っているのかが書かれているかを見てください。国際フェアトレード認証ラベルであれば、Fairtrade Internationalという運営主体と、Fairtrade Japanという日本の窓口がはっきりしています。事業者名しか書かれていないマークは、その事業者自身が独自に掲げている表示である可能性があります。

欧州では2026年9月から、根拠のあいまいな環境表示や企業の自己認証ラベルを制限する指令の適用が始まる予定だと、Fairtrade Japanは伝えています(出典:国際フェアトレード認証製品の国内推定市場規模2025発表|Fairtrade Japan)。第三者による検証の有無は、日本に限らず問われはじめている論点のようです。

見分けてから、選ぶ

矢印を見て裏面を確かめる。ラベルのそばに表示主体が書かれているかを見る。ラベルが付かない作り手については、別の物差しで確かめる。

この媒体では、日本の福祉事業所がつくった品と、海外のフェアトレード団体から届いた品を並べて紹介しています。サステナブルギフト12選では12点それぞれの代金の行き先を調べましたが、金額まで数字で公開されていたのは1点だけでした。ラベルの有無だけで選ぶより一歩先まで、見て選んでいただけたらと思います。


本記事の情報は2026年8月10日に、Fairtrade Japan、Fairtrade International、環境省の公式サイトおよび公式PDFで確認したものです。本記事にアフィリエイトリンクは含まれていません。基準や規則は改定される場合があるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。