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寄付付き商品とは|買って応援できる仕組みと例
2026年8月3日
目次
寄付付き商品とは、購入代金の一部または利益の一部が、企業から寄付先団体への寄付にあてられる商品のことです。商品にもサイトにもよく書かれている「売上の一部を寄付」という一文だけでは、実際にいくら渡っているのかまでは分かりません。今回、実在する9つの取り組みの公式ページを1件ずつ開き、額を書いているものと、書いていないものを並べてみました。
「寄付付き商品」に公的な定義はあるか
「寄付付き商品」という言葉を国の文書で探すと、法令上の定義そのものには行き当たりません。見つかるのは、エシカル消費の実例として挙げている記述です。
消費者庁が2016年にまとめた「倫理的消費」調査研究会の中間取りまとめには、こう書かれています。
「社会への配慮」としては、フェアトレード商品や寄付付きの商品等の消費が挙げられた。
同じ資料の別の箇所には、こうもあります。
地産地消、被災地産品の応援消費、障害者支援につながる消費、フェアトレード商品、寄付付商品、エコ商品、リサイクル製品、資源保護等に関する認証付商品(森林保全、海洋資源の保全)の消費、地域の伝統品の消費、動物福祉につながる消費など、様々な例が出された。
(出典:「倫理的消費」調査研究会 中間取りまとめ(資料5-2)|消費者庁)
ここで気づくのは、「寄付付き商品」と「障害者支援につながる商品」が、同じ並びの中で別の項目として挙げられていることです。買い物で誰かを支えるという点は同じでも、国の文書自体が、これを別々の仕組みとして扱っています。
寄付のつき方には、いくつかの型がある
一口に「寄付付き商品」といっても、代金のどの部分が、いくら寄付に回るかは取り組みごとに違います。今回調べた範囲で分けると、6つの型がありました。
いちばん分かりやすいのは、1点あたり定額型です。対象商品を1個買うごとに、決まった額が寄付にあてられます。森永製菓の「1チョコ for 1スマイル」は対象商品1個につき1円、TABLE FOR TWOの対象商品は1食につき20円という具合です。ただし森永製菓のこの寄付は通年ではなく、特別期間を設けて行われます。直近は2026年1月5日から2月14日までで、この期間は終了したと公式ページに記載がありました(2026年8月3日確認)。
価格上乗せ型は、寄付分があらかじめ価格に組み込まれているタイプです。寄付金付き年賀はがきがこれにあたります。年賀寄付金について|日本郵便によれば、絵入りはがきは90円のうち5円、寄付金付きの切手は1枚につき3円が寄付金です。お年玉付郵便葉書等に関する法律にもとづいて行われており、今回調べた9つのなかで、法律に根拠を持つのはこれだけでした。
売上に対する率型は、売上の◯%という形で寄付額が決まります。サラヤのヤシノミ洗剤シリーズは、対象ブランドの売上の1%をボルネオ保全トラストに寄付しています。
売上全額型は、売上そのものの全額を寄付にあてる型です。LUSHのチャリティポットは、消費税を除く売上の全額を、人権や環境保護に取り組む団体への助成にあてています。
利益全額型は、同じ「全額」でも、分母が売上ではなく利益になる型です。ユニクロは2022年7月の発表で、チャリティTシャツ「PEACE FOR ALL」について「利益の全額(1枚当たり販売金額の20%相当)」を寄付すると説明しました。分母が売上か利益かで、同じ「全額」でも購入者から見た金額は変わります。
額も率も書かれていない型もあります。「売上の一部を寄付」とだけあって、具体的な数字が続きません。今回確認した9つのうち2つが、この型でした。
実在する9つの取り組みを、条件のまま並べてみる
寄付の条件をどう書くかは、企業によってかなり差があります。同じピンクリボン運動への協賛でも、金額まで書く企業と、「売上の一部」としか書かない企業が並んでいました。実際に公式ページを1件ずつ確認した結果が、次の表です。
| 取り組み | 運営主体 | 寄付の条件(原文の表記) | 実施報告 |
|---|---|---|---|
| 寄付金付年賀はがき | 日本郵便株式会社 | 絵入りはがき90円のうち5円、寄付金付き切手1枚につき3円が寄付金 | 配分先を毎年公募・公表 |
| 1チョコ for 1スマイル | 森永製菓株式会社 | 対象商品の売上1個につき1円を寄付(直近の特別期間:2026年1月5日〜2月14日・終了) | 2008年度から2022年度までの累計359,268,854円 |
| TABLE FOR TWO対象商品 | 認定NPO法人テーブルフォーツー | 1食につき20円の寄付金 | 累計支援給食数1億1,949万6,128食(2026年5月末時点) |
| チャリティポット | LUSH | 売上げの全額(消費税を除く)を助成 | 日本で6億5,000万円以上・780以上のプロジェクトに助成(2022年9月発表時点) |
| ヤシノミ洗剤ほか | サラヤ株式会社 | 対象ブランドの売上げの1% | 確認した公式ページには累計額の記載なし |
| PEACE FOR ALL | 株式会社ユニクロ/ファーストリテイリング | 利益の全額(1枚当たり販売金額の20%相当・2022年7月発表時点) | 確認した公式ページには記載なし |
| コープ化粧品 | 日本生活協同組合連合会 | 1点購入ごとに1円を寄付 | 1,005,472円(2025年9月1日〜10月20日) |
| ピンクリボン協賛ブラジャー | 株式会社千趣会 | ピンクリボン協賛商品の売上の一部 | 確認した公式ページには金額の記載なし |
| 生理用品ほか | コットン・ラボ株式会社 | 売上金の一部をほほえみ基金へ寄付 | 確認した公式ページには金額の記載なし |
出典: 年賀寄付金について|日本郵便/ 1チョコ for 1スマイル|森永製菓/ TABLE FOR TWOのしくみ|認定NPO法人テーブルフォーツー/ チャリティポット15周年を記念しラベルデザインを刷新(2022年9月2日発表)|LUSH/ ヤシノミ洗剤と環境保全|サラヤ/ PEACE FOR ALLプロジェクト始動について|ファーストリテイリング(2022年7月19日発表)/ ピンクリボン運動|コープ商品サイト/ ピンクリボン活動|千趣会/ ピンクリボン運動|コットン・ラボ
なお、寄付を受け取る側の一覧を見ても、同じ傾向がありました。売り上げに連動した寄付をしている企業の一覧|日本対がん協会には、キリンビバレッジ、千趣会、シャルレ、ヘルスビューティー、ホクト、ラルフローレン、高島屋、ワコール、クレハ、丸富製紙が並んでいますが、このうち率や額を書いている企業は1社もありませんでした。表記は「売り上げの一部」「必要経費を除いた金額」「1枚ご試着いただくごとに一定額」などさまざまですが、具体的な数字を書いている社はありません。寄付を受け取る側が自ら公開している一覧でこうなっているので、額を書かないことは、少なくとも珍しい対応ではないと言えます。
買った人は寄付金控除を受けられるか
寄付付き商品を買うと、少し寄付をした気分になります。ただ、税の扱いで見ると、これは寄付そのものとは違います。
所得税には寄附金控除という制度があり、納税者が「特定寄附金」を支出した場合に、所得控除を受けられます。国税庁のタックスアンサーは、特定寄附金を「国や地方公共団体、特定公益増進法人など」への支出と説明しています。ここでいう「支出した人」は、寄附金を実際に支払った本人です。
寄付付き商品の場合、寄附金を支出しているのは販売した企業で、買った人は商品の代金を払っています。つまり、買った人が寄附金控除を受けることはできません。これは国税庁が寄付付き商品を名指しして説明しているわけではなく、特定寄附金の定義そのものから導かれる結論です。
一方、認定NPO法人や日本赤十字社の口座に直接寄付をした場合は、その寄付自体が特定寄附金にあたり、控除の対象になります。同じ1,000円でも、寄付付き商品を買うのと、認定NPO法人へ直接寄付するのとでは、税の扱いが変わってくるということです。なお直接寄付の場合も、控除を受けるには確定申告が必要で、控除額には下限と上限があります。条件は国税庁のページでご確認ください。
手に取ったときに見る3つのポイント
店頭やサイトで寄付付き商品を見かけたとき、その場で確認できることが3つあります。
額か率が書いてあるか。 「売上の一部」だけでは、実際にいくら渡るのかは分かりません。今回の9つでも、確認したページに額や率まで書いていたのは7つでした。
分母は売上か利益か。 「◯%」や「全額」という数字を見つけたら、それが何に対する割合なのかを続けて探してみてください。売上に対してなのか、利益に対してなのかで、渡る金額は変わります。
寄付先の法人格と、実施報告があるか。 公益財団法人や認定NPO法人といった法人格が明記され、累計額や累計件数まで公表している取り組みは、今回調べた中でも数が限られていました。法人格と実施報告の両方がそろっているかどうかは、その場で確認できる手がかりになります。
寄付と工賃、代金の行き先の違い
寄付付き商品と、よく並んで語られるものに、就労継続支援B型事業所などが作る福祉発の商品があります。どちらも買い物で誰かを支える仕組みですが、代金の行き先は違います。
寄付付き商品の場合、代金の一部は認定NPO法人や公益財団法人といった第三者の団体に渡ります。一方、B型事業所の商品を買った場合、代金は事業所の生産活動の収入になり、そこから利用者本人に工賃として支払われます。厚生労働省の資料は、工賃を「事業者が利用者に支払うすべてのもの」と定義しており、渡る相手は作った本人です。全国平均は令和6年度で月24,141円でした(出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)。
どちらが優れているという話ではありません。第三者に渡るか、作った本人に渡るかという、代金の行き先の違いです。工賃の定義や全国の推移、都道府県別の水準は工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組みと工賃データベースにまとめてあります。B型事業所という仕組み自体については、B型事業所とは|仕事・工賃・商品をやさしく解説で説明しています。
「売上の一部」と書かれた品を見かけたら
次に「売上の一部を寄付」と書かれた商品を手に取ったら、まず額や率が書いてあるかを見てみてください。書いてあれば、それがいくらで、どの団体に渡るのかまで読めます。書いていないからといって、その企業が不誠実というわけではありません。寄付を受け取る協会の一覧でも書かれていなかったとおり、額を書かないやり方は広く行われています。ただ、書いてある取り組みのほうが、自分の払ったお金がどこへ向かったのかを、買ったあとから確認できます。
贈りものを選ぶ場面で同じことを確かめたい方には、代金の行き先を1点ずつ調べたサステナブルギフト12選もあわせてご覧いただければと思います。
本記事の情報は2026年8月3日時点で、各社・各団体の公式ページを確認したものです。寄付の条件や実施状況は変更される場合があります。最新の情報は各公式ページでご確認ください。