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フェアトレード商品の例|身近な15品と、代金の行き先

2026年8月13日

目次

スーパーやオンラインショップの棚に、チョコレートとコーヒー豆が並んで「フェアトレード」の表示を付けていることがあります。この2つは、同じことを保証された商品なのでしょうか。

気になって、2026年8月13日に、商品を扱う15の公式ページを順に開いていきました。小川珈琲のモカブレンドから、九鬼産業のいりごま、わかちあいプロジェクトのサッカーボールまで、8つの産品カテゴリにまたがる15点です。

開いてみて最初に分かったのは、値段でも産地でもありませんでした。同じ「フェアトレード」と書かれていても、保証している中身が商品によって違っていたのです。

「フェアトレード商品」には、保証されているものが違う三種類がある

「フェアトレード商品」と呼ばれているものには、製品そのものが国際フェアトレード認証を受けたもの、事業者や団体がWFTO(世界フェアトレード連盟)の保証を受けているもの、企業が独自の基準で取り組んでいるものという、保証の対象が異なる三つの種類が含まれます。同じ「フェアトレード」の一語でくくられていても、確かめる相手はそれぞれ違います。

国際フェアトレード認証を受けた製品

国際フェアトレード認証は、製品そのものが認証される仕組みです。事業者がFLOCERTの監査を受けて認証され、基準を満たした製品にラベルが付きます。産品ごとに最低価格とプレミアムという金額が決まっていて、その実額はフェアトレードとは|仕組みと、決まっている金額にまとめました。

トップバリュは自社のフェアトレード商品について、こう書いています。

小売企業のプライベートブランドとして、国内最多のフェアトレード商品を手がけています

(出典:フェアトレード認証|トップバリュ)

この後の表で①と付けた商品が、この仕組みで認証されています。

WFTOの保証を受けた団体の製品

WFTOの保証は、これとは対象が違います。審査されるのは製品ではなく、事業を営む団体そのものです。WFTO公式は、自らの保証制度についてこう説明しています。

In contrast to commodity certifiers, the WFTO Guarantee System assesses the entirety of a business, not just a specific product, ingredient or supply chain.

The Guarantee System is not a product certification system. It is an assurance mechanism that an enterprise is truly purpose driven and that Fair Trade practices are implemented in the supply chain and practices of the whole enterprise.

(出典:Our Fair Trade System|WFTO)

製品認証の仕組みではなく、事業全体がフェアトレードの理念に基づいて運営されているかどうかを見る保証だ、という意味です。審査を通った団体は「Guaranteed Fair Trade Enterprise」となり、自社のフェアトレード製品にWFTOラベルを付けられます。ピープルツリーは自社サイトでこう名乗っています。

ピープルツリーは、世界フェアトレード連盟が保証するフェアトレード団体です。

(出典:People Tree 公式サイト)

同じ棚に並ぶチョコレートでも、①の商品には産品ごとの最低価格表とプレミアムがありますが、②の商品にはその表自体が存在しません。保証されているのは「この会社のやり方」であって、「この板チョコの原料単価」ではないからです。

企業が独自の基準で取り組む製品

企業独自の基準は、さらに別の階層です。第三者の製品認証を受けず、企業や団体が自ら定めた基準で「フェアトレード」的な取引を行っています。今回は3社の公式記述を確認しましたが、仕組みはそれぞれ違いました。

スターバックスは「C.A.F.E.プラクティス」という自社ガイドラインを、第三者機関が検証する形で運用しています。

SCSグローバルサービスの訓練を受け、同サービスが監視する、認定済みの第三者機関が検証します。

(出典:コーヒーのエシカルな調達―C.A.F.E. プラクティス|スターバックス コーヒー ジャパン)

セブン-イレブンは、対象のチョコレートについてこう説明しています。

対象の「セブンプレミアム」チョコレートは認定NPO法人ACEを通じて売上金の一部をカカオ生産地にお届けします。

(出典:「セブンプレミアム」は対象のチョコレートを通じて産地支援を行っております。|セブン-イレブン)

最低価格でもプレミアムでもなく、NPOへの寄付という別の経路です。日本のフェアトレードの草分けである第3世界ショップは、第三者認証ではなく「生産者と直接対話する『顔の見える関係』」を基準に置いていると、自社サイトで説明しています(出典:第3世界ショップとは フェアトレードからコミュニティトレードへ|第3世界ショップ)。

三社に共通するのは、①②のように外部の基準書と監査で担保されているわけではなく、確かめる相手が各社の開示そのものになる、ということです。スターバックスは第三者検証を受けていますし、セブン-イレブンは寄付先のNPOを実名で開示しています。違うのは保証している対象であって、誠実さの度合いではありません。この三社については個別の商品ページまでは確認できなかったため、この後の一覧表には入れていません。パッケージのマークが国際フェアトレード認証ラベルなのか企業独自のマークなのかを見分ける方法は、国際フェアトレード認証ラベルとは|矢印の意味と、本物の見分け方にまとめました。

対象になる産品も、数え方で違う

さらに調べていて、もう一つ引っかかったことがあります。フェアトレードの対象になる産品そのものが、日本語のページと英語のページで数が違っていたのです。

Fairtrade Japanの日本語ページ「対象産品」には、コーヒー、カカオ、バナナ、ティー、ハーブ・スパイス、ナッツ・オイル、砂糖、はちみつ、ワイン、コットン、スポーツボール、花と植物の12カテゴリが載っています。同じページには「上記に掲載している以外にも認証対象の産品があります」とも書かれています(出典:対象産品|Fairtrade Japan)。

一方、Fairtrade Internationalの英語ページ「Products」には、バナナ、金、カカオ、コーヒー、コットン、花と植物、果物とジュース、ハーブ・スパイス、はちみつ、ナッツ・オイル、ワイン、野菜、ティー、砂糖、繊維製品、スポーツボール、米、キヌアの18品目が並びます(出典:Products|Fairtrade International)。

日本語ページには、金、繊維製品、米、キヌア、野菜、果物とジュースが載っていません。日本語ページ自身が「以外にもある」と断っている以上、矛盾とまでは言えません。ただ、「フェアトレードの対象は12種類」と書いてしまうと、それは誤りになります。

実際に確かめた15商品

15点を、産品カテゴリの順に並べました。①②③は、ここまで見た三つの分類のうち、その商品がどれに当たるかを示しています。価格・分類ともに、2026年8月13日に各社の公式ページで確認したものです。価格や取扱いは変動します。

#商品名(公式ページへリンク)販売者価格分類
1有機珈琲 フェアトレード モカブレンド(豆)140g小川珈琲1,209円(税込)①
2オーガニックフェアトレードコーヒーモカブレンド粉 180gトップバリュ861.84円(税込)①
3板チョコ(オーガニック各種フレーバー)People Tree534円(税込)②
4Tony’s Chocolonely 板チョコ 180g/50g国分グループ本社現行価格の記載なし(代理店ページは2021年時点の表記)①+独自
5マカイバリ紅茶 ティーバッグ20袋(2.5g×20)マカイバリジャパン1,080円①
6マカイバリ紅茶 ティーバッグ50袋(2.5g×50)マカイバリジャパン2,430円①
7CLIPPER イングリッシュ ブレックファスト 20P鈴商920円(税抜)①
8グリーン・プログラム フェアトレードバナナ生活協同組合ユーコープページに価格表示なし①
9ORGANIC SPICE 有機シナモン(パウダー)19gエスビー食品580円(税別)①
10九鬼 フェアトレード いりごま 白 65g九鬼産業ページに価格表示なし①
11〈1秒タオル〉FTトゥーリ スポーツタオルホットマン2,750円①
12〈1秒タオル〉FT砂音 バスタオルホットマン4,400円①
13オーガニックコットン天竺ロングスカートPeople Tree5,214円(通常8,690円・確認時点セール中)②
14ケニア産フェアトレードローズトップバリュ657.80円(税込)①
15aspiro サッカーボール(手縫い・3〜5号)わかちあいプロジェクト2,750円(税込)①

小川珈琲は2003年に国際フェアトレード認証ラベル商品の製造ライセンスを取得し、2004年から販売を始めたと自社サイトに書いています。トップバリュのコーヒーには「掲載の表示価格は店舗や地域によって異なる場合がございます」との注記があり、861.84円という端数はその表れです。

People Treeの板チョコは、団体そのものがWFTOに保証された②の商品です。確認したラインナップページは2025年9月から掲載されている秋冬向けの商品で、2026年8月13日時点で在庫があるかどうかは、このページからは分かりませんでした。Tony’s Chocolonelyは①の認証原料を使ったうえで、フェアトレードプレミアムに加えて「トニーズプレミアム」という独自の支払いを組合経由で行っていると、日本代理店の国分グループ本社が書いています。ただし金額は、代理店のページにも本体サイトにも見当たりませんでした。

マカイバリジャパンは1994年にFLO(Fairtrade Labelling Organizations International)へ加盟したと自社ページに記載しています。CLIPPERは全商品が国際フェアトレード認証というわけではありませんでした。販売代理店の鈴商のページを見ると、商品ごとに有機JAS、EUオーガニック、SOIL ASSOCIATION、国際フェアトレード認証と、付いているマークが違います。

ユーコープのバナナはペルー共和国北部ラ・マタンサ産で、公式ページに価格の表示はありませんでした。

エスビー食品は、66品目あるORGANIC SPICEシリーズのうち29品目を国際フェアトレード認証製品として展開しています(2024年9月時点。出典:フェアトレード・有機認証香辛料の取組み|エスビー食品)。九鬼産業は「国内のごまメーカー初のフェアトレード認証ごま商品」と自社サイトに書いていて、仕入先はニカラグアのデルカンポ農協、約1,000の農家が参加しています(出典:ごまとフェアトレード|九鬼産業)。

ホットマンは「国内初の日本製フェアトレードコットンタオル」と自社サイトで説明しています。2014年4月から2026年3月までの累計で、認証コットンを約91.9トン調達し、約45.4万枚のタオルを販売してきました(出典:フェアトレード月間 2026|ホットマン公式オンラインショップ)。

トップバリュのケニア産フェアトレードローズは2025年から販売が始まった商品で、「国内プライベートブランドとしては初めて、切り花で国際フェアトレード認証を取得しました」と自社サイトに書かれています(出典:トップバリュの切り花|トップバリュ)。同じページにはコロンビア産カーネーションも並んでいますが、こちらはレインフォレスト・アライアンス認証で、フェアトレードとは別の制度です。

わかちあいプロジェクトのASPIROは、パキスタンのビジョン社が製造しています。同社は「2002年に世界で初めてフェアトレード認証を受けた会社の一つ」と紹介されています(出典:フェアトレードボール|わかちあいプロジェクト)。確認した2026年8月13日時点で、販売サイトのFair Selectは夏季休業中と表示されていて、注文を受け付けていませんでした。

代金は、どこまで追えたか

15点を調べていて、最初に立てたもう一つの問いがありました。この商品を1つ買うと、生産者にいくら届くのか、という問いです。

答えから言うと、金額まで公開されていたのは1件だけでした。

ユーコープのフェアトレードバナナには、こう書かれています。

バナナ1袋(約500g)あたり約4円が生産者のくらしに役立てられます

用途としては、農園労働者の住宅建設、薪からガス調理への転換、トイレの設置、子どもの教育機会の提供が挙げられていました(出典:グリーン・プログラム フェアトレードバナナ|生活協同組合ユーコープ)。

残り14点は、そこまでは追えませんでした。ただ、行き止まりの手前まではそれぞれ違うところまで分かっています。

エスビー食品、わかちあいプロジェクト、マカイバリジャパンの3社は、金額こそ書いていませんが、プレミアムが何に使われているかは公開していました。わかちあいプロジェクトはASPIROのプレミアムについて、安全な水へのアクセス、眼科検診、労働者の無料送迎、子どもへの学用品キット、環境啓発を挙げています(出典:フェアトレードボール|わかちあいプロジェクト)。ただ、それがいくらなのかは、このページからは追えませんでした。Tony’s Chocolonelyも同じ構造で、独自のトニーズプレミアムを組合経由で払っているとは書かれていても、その金額まではたどり着けませんでした。

ホットマン、トップバリュ、九鬼産業の3社は、もう一段手前で止まっていました。書かれているのは商品1点あたりの還元額ではなく、これまでに調達した総量です。ホットマンは2014年4月から2026年3月までに認証コットンを約91.9トン調達し、約45.4万枚のタオルを販売したと公開しています。九鬼産業は仕入先の農協に約1,000の農家が参加していることまでは書いていますが、プレミアムの使い道や金額には触れていません。

小川珈琲とPeople Treeの2社は、還元の金額も使途も見つかりませんでした。People Treeについては、そもそも産品ごとの価格表という仕組み自体が②には存在しないため、金額が出てこないのは制度としてはむしろ自然なことです。

セブンプレミアムのチョコレートだけは、少し違う話でした。売上の一部がNPO法人ACEを通じて産地に届くとは書かれていますが、これは最低価格やプレミアムとは別の、寄付という経路です。いくら届くのか、どの商品が対象なのかまでは、公式ページからは読み取れませんでした。

15点を調べて、1つ買うといくら生産者に届くかが金額で分かったのは、結局ユーコープのバナナだけでした。この「商品1個あたりが分かる・分からない」という差は、海外のフェアトレードだけの話ではありません。日本の福祉事業所がつくる品を見るときにも、同じ壁にぶつかります。その仕組みは工賃とは|買い物が作り手の工賃になる仕組みに、都道府県別の実績は工賃データベースにまとめています。

次に棚の前に立ったら

冒頭のチョコレートとコーヒーは、同じ「フェアトレード」でも保証されているものが違う場合があります。今回で言えば、People Treeの板チョコは団体そのものが保証された②、小川珈琲のモカブレンドは製品そのものが認証された①でした。どちらが上ということではなく、確かめる相手が違うというだけのことです。

次に棚の前に立ったら、値段の次に見てほしいのは、そのマークが保証しているのが製品なのか、団体なのか、それとも企業独自の基準なのかということです。そして、もし気になったなら、1つ買うといくら生産者に届くのかも、公式サイトを一段掘ってみてください。今回の15点では、ユーコープのバナナ以外、その答えにはたどり着けませんでした。それでも、どこまで分かってどこで止まったかは、サステナブルギフト12選でも一点ずつ同じように確かめています。


本記事の商品情報・価格は2026年8月13日に各社の公式サイトで確認したものです。価格・在庫・取扱いは変動します。制度に関する記述はFairtrade Japan、Fairtrade International、WFTOの公式サイトで確認しました。本記事にアフィリエイトリンクは含まれていません。